第54号 2006.12.25
今回のテーマ (特集)
薬のかたち、とうがらし

薬のか☆た☆ち

 「薬」と言っても、のみぐすり、貼り薬や塗り薬などの外用薬、注射剤など、いろいろな種類があります。
また、同じのみぐすりでも、錠剤、粉薬、水薬などの色々な形をしています。どうしてなのでしょうか?
薬の形のことを、剤形といい、たとえ同じ成分であっても、剤形によっては効き方に大きな違いがあるのです。
つまり、多様な種類の剤形があることで、個人個人にあった治療薬を選択でき、効果的かつ安全に薬が使えるのです。

☆錠剤☆

剤形
特徴
裸錠
溶けやすく吸収しやすいように圧縮しただけの錠剤
コーティング錠
苦みや匂いのため、のみにくい薬の表面をコーティングしてある錠剤白糖(砂糖)でコーティングした糖衣錠、水溶性の高分子物質でコーティングしたフィルムコーティング錠、胃酸で分解されてしまう薬を、胃で溶けずに、腸で溶けるように加工した腸溶錠などがある
口腔内崩壊錠
飲み込むことが困難な高齢者などが、薬をちゃんと服用できるように、唾液で速やかに崩壊する薬(水なしでも服用できる)
持続性錠剤
薬の体内での溶け方をコントロールして、効果が持続するよう加工されたもの外から見ると色と大きさ以外は、どの錠剤も同じように見えるが、錠剤の中に溶ける速度の違う粒が入っていたり、二層に重ねたり、錠剤の中に小さな錠剤が入って二重になっていたりなど、いろいろな種類がある

薬を一定の形に押し固めて作ってあり、円形、楕円形など、いろいろな形があります。 錠剤が溶けるためには、ある程度の水分が必要なので、コップ1杯程度の水で服用して下さい。

その他に、舌下で薬を溶かして、口の中の粘膜から体内に吸収させる舌下錠や、口の中でアメのようになめて溶かしながら、口の中の粘膜に直接作用させるトローチ剤などの錠剤もあります。

 

☆カプセル剤☆
 ゼラチン質で作られたカプセルの中に、薬を詰めて作られています。
錠剤と同様、味や匂いを解消すること、持続性を持たせること、胃でなく腸で溶けるようにすることなどができます。粉や顆粒状の薬がつめてある硬カプセルと、液状の薬がつめてある軟カプセル(ソフトカプセル)があります。 水なしだと、のどにひっかかって炎症を起こすことがあるので、コップ1杯程度の水かぬるま湯で服用して下さい。


  錠剤になっているものをつぶして飲んだり、カプセル剤の中を出して飲んだりすることは、そのお薬の本来期待した効果が現れないばかりか、作用が強く出すぎたり、逆に出なかったりと問題が生じてしまうので、絶対に止めてください。


とうがらし

 

とうがらしは数千年前から栽培されている歴史の長いナス科の植物です。
英語で「red pepper」といいますが、これはコロンブスが胡椒と間違ったためと言われています。「唐辛子」という名前により中国から伝わったように思えますが、中国にとうがらしが伝わったのは日本よりも後のことであったようです。  とうがらしの辛味成分はカプサイシンであり、含有量は種類によって異なります。その他に実の部分にカロチン、ビタミンB1、B2。葉の部分にビタミンC、カルシウム、鉄、カリウムが含まれます。


★カプサイシンの働き
☆ 血流を活発にすることで体温を上昇させる。(温湿布に利用されています)
☆ 脂肪を燃焼させます。 ☆ 胃を刺激し、食欲を増進させます。
☆ 殺菌作用があり、食べ物を腐りにくくします。


★七味唐辛子の中身ってご存じですか?
江戸時代にそばに合う薬味で売り出されたようですが、数えてみると7種以上もあることを ご存じでしょうか?  
当時は「生の赤唐辛子」「煎った赤唐辛子」「粉山椒」「黒ごま」「けしの実」「麻の実」「陳皮( みかんの皮)」の7種の薬味が入っていました。関東の濃い味文化と関西のうす味(うどん) 文化の違いから現在では、共通の薬味として「赤唐辛子」「山椒」「ごま」「麻の実」。地域によ り「陳皮」「けしの実」「しそ」「青海苔」「生姜」などブレンドされているものが違うようです。


  近年、大豆(イソフラボン)と一緒に摂取することにより育毛効果があることで注目されています。
効果があるとはいえ、刺激が強く、多量に摂りすぎると味覚が麻痺したり、胃粘膜を荒らすことがありますので注意しましょう。