第53号 2006.9.25
今回のテーマ (特集)
小児の坐薬、スイッチOTC薬

小児の外用薬
(坐薬)

 小さな子どもをもつ家庭では、坐薬を使用する事が多いと思います。
「坐薬」
と聞くと「熱さまし」と思う人が多いですが、熱さまし以外にも色々な坐薬があります。いざというときに慌てずに使用できるように、使用方法やタイミングをしっかり知っておきましょう。

☆坐薬の使い方

仰向けに寝かせて両足を上げた姿勢(おむつを替える体勢)にし、先端から静かに肛門に差し込んで下さい。
深さは指が少し(第二関節位まで)肛門内に入る程度。坐薬が入ったら肛門入り口を指やティッシュなどで10秒ぐらい押さえて下さい。挿入前後は必ず手洗いをしましょう。


・ほとんどの坐薬は、冷蔵庫で先端側を下にして保管します。
・冷蔵庫から出してすぐに使用すると、冷たくて刺激を感じるため、坐薬が便と一緒に排出されやすくなったり、痛がったりすることがあります。使用する前に手のひらで少し温めておくと良いでしょう。
・入りにくいときは坐薬の先を水でぬらしたり、オリーブオイルやベビーオイルを つけたりすると滑りやすくなり、入りやすくなります。

 

☆主な坐薬の種類

薬効 薬剤名 使用間隔 効き始めまでの時間 使用限度
熱さまし(解熱薬) アルピニー
アニルーメS
6時間以上 30分〜1時間 1日2回まで
吐き気止め ナウゼリン 8時間以上 1〜2時間
熱性けいれんの予防 ダイアップ 8時間以上 30分〜1時間

 

★2種類の坐薬を使用するとき
  ナウゼリン坐薬と解熱剤の坐薬、ダイアップ坐薬と解熱剤の坐薬  
→解熱剤の坐薬を一緒に、あるいは先に使用するとナウゼリン坐薬、ダイアップ坐薬の吸収がとても悪くなります。ナウゼリン坐薬またはダイアップ坐薬を先に挿入し、30分以上あけて解熱剤を使用することが好ましいとされています。

◎ なお、坐薬を使用した場合には、発熱の状況や坐薬の使用時間などをメモし、次の受診時に提出するとよいでしょう。坐薬が適切に使用されたか判断できます。


使用せずに余っていた坐薬を使う場合は、体重によって必要な投与量が変わり、少ないと十分な効果が得られない場合がありますので、必ず医師または薬剤師に相談して下さい。

 


スイッチOTC薬

 

最近CMなどで耳にする「スイッチOTC薬」ってご存知でしょうか?
OTC薬とは「Over The Counter薬」の略で、医師の処方箋がなくても薬店などで購入できる薬(一般用医薬品、市販薬)のことです。  スイッチOTC薬とは、医療機関を受診し医師による処方箋が必要な薬(医療用医薬品)と全く同じ成分の薬をOTC薬用に転用(スイッチ)されたものです。
スイッチOTC薬の承認には次のようなことが評価されています。
・ 薬の作用がおだやかであり、副作用の発生頻度が少ないこと
・ 自己判断が容易な病気や症状が適応であること
・ 習慣性、依存性が生じないこと
・ 使い方が理解しやすく、分量や回数を間違える危険性がないこと
・ 使用上の注意が複雑ではなく、他の薬や食べ物、飲み物との相互作用が少ないこと
スイッチOTC薬は元々医療用医薬品のため、薬の効きめは他のOTC薬に比べて強くなっています。そのため自己判断で長期服用していると症状が重くなったり、思いがけない副作用が現れる恐れがあります。間違った知識や情報は危険な場合もありますので、購入の際には薬剤師によく相談して下さい。  症状がよくならない場合は早めに医療機関を受診して下さい。