第22号 2001.3.26
今回のテーマ (特集)糖尿病、食事(糖尿病)

 糖尿病 〜お薬とのつきあい方〜
糖尿病の治療の基本は、食事療法・運動療法にあります。しかし、これだけで血糖値が下がらない場合には、 補助的に薬物療法が取り入れられます。
お薬の種類
糖尿病のお薬には、経口剤(飲み薬)と注射剤の二種類があります。インスリン依存型(T型)の場合には、 体内でインスリンをつくることができないため必ずインスリンの注射が必要となりますが、インスリン非依存型(U型) の場合は経口剤から始めます。

経口剤:症状に合わせて一種類あるいは併用して服用します。
食後過血糖改善薬
(ベイスンなど)
糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な高血糖を防ぎます。
インスリン分泌刺激薬
(オイグルコン・グリミクロン・ジアベン・メルビンなど)
膵臓(すいぞう)のインスリン分泌を促して血糖を下げます。
インスリン抵抗性改善薬
(アクトス)
インスリンに対する体の反応のにぶりを良くして、糖の利用を促し血糖を下げます。

注射薬:不足するインスリンを補い血糖を下げます。
インスリンの注射剤には、効果発現時間、作用時間などの違いによっていくつかの種類があります。
(ペンフィル・ノボレット・ノボリン・モノタードなど)

お薬と上手につきあおう!
正しく飲む、使う お薬の時間・量をきちんと守らないと、効果がなくなったり副作用が起きやすくなったりします。
お薬に頼り過ぎない お薬(経口剤)で血糖値が下がってくると、つい食事療法・運動療法がおろそかになりがちです。お薬はあくまでも補助的なものということを忘れないようにしましょう。
血糖値をチェック 血糖値はお薬の効きめを測る上でも重要です。下がらない場合や下がりすぎる場合は、お薬の量や種類の変更が必要となってきます。
砂糖・ブドウ糖を携帯 低血糖が起こった時にすぐ飲めるよう常に持ち歩きましょう。
(食後過血糖改善薬をお飲みの方は、砂糖・ジュースではすぐに効かないため、必ずブドウ糖を携帯しましょう。) 糖尿病の治療では、血糖値を下げて合併症を防ぐことが重要です。お薬と上手くつきあい、血糖のコントロールに努めましょう。

低血糖に注意!
お薬が効きすぎたり、食事の時間が遅くなったり、運動量が増えた時などに血糖値が下がりすぎて、 手足のふるえ・冷や汗・動悸・脱力感・めまいなどの低血糖症状が起こることがあります。ひどい時にはけいれん、 意識の消失が起こることもあるので注意が必要です。
低血糖を防ぐには 1.食事は規則正しくとる。
2. お薬の時間・量はきちんと守る。
3. 食前に激しい運動をしない。
4. アルコールは避ける。
低血糖が起こったら 砂糖(10〜20g)やジュース(100cc)を摂ります。ただし、食後過血糖改善薬をのんでいる場合は、 砂糖、ジュースではすぐに低血糖が改善されないため必ずブドウ糖10〜20gをのんで下さい。薬物療法を始めたら、 常に砂糖・ブドウ糖を携帯することが必要です。

 〜糖尿病編〜
糖尿病の食事というと「食べ物を制限される」と思われる方も多いのではないでしょうか?確かに多少の制限はありますが、 粗食・絶食というわけではありません。成人病にかかりにくくするためにも誰にでも勧められる食事です。

ポイント
・必要な量を摂る…自分に必要なエネルギー量()を知る。
・バランス良く食べる…一食毎に栄養のバランスが取れたものにする。
・ゆっくりと食べる…早食いは大食いのもと。
・一日の食事は3回以上に分ける…まとめ食いは多量のインスリンが必要になるため膵臓に負担がかかります。
・野菜は毎食摂る…野菜に含まれる食物繊維は、食後の血糖の急激な上昇を抑えます。
・嗜好品(しこうひん)はルールを決める…アルコールやお菓子で食事療法が乱れてしまっては大変です。
毎日は摂らず、摂る量は医師に相談してきちんと決めましょう。
・外食は1日1回までに…単品のものより、定食など多種類の食品を使ったものを選び、量の多い時は食べ残す勇気も大切です。

(*)一日に必要なエネルギー量
          =標準体重(身長(m)2 ×22)× 25〜30kcal